突然ですが、みなさんは日々の仕事をどんな姿勢で取り組まれていますか?
私は嫌々で取り組んでいます!笑
「仕事が楽しい」と語るサラリーマンについて、「本当にそう思ってるの?」と疑問を抱きますし、お金のために人がやりたがらないことをやるのが仕事だと思っています。
ただ、仕事を楽しめないことには悩みながら過ごしています。
本書では「仕事を楽しむ方法」について紹介されています。
読み終わるとすぐに仕事が楽しくなるといった魔法の本ではありませんが、仕事の捉え方に関するヒントがありました。
ビジネス書って難しそうで抵抗がある。。
そんな人でも、アイドルマスターを題材にしているので楽しんで読めると思いますよ。
概要
まずは、本書の概要についてです。
制作側の視点から、アイドルマスターが600億の市場規模を持つほどに至るまでの経緯について、まとめられています。
ヒット商品の裏側が知れるということで、多くの学びがありました。
また、アイドルマスターの総合プロデューサー坂上さんの仕事に対する考え方が深掘りされています。
冒頭で述べた「仕事を楽しむ」を含めて、坂上さん流の「仕事への向き合い方」を知ることができます。
著者紹介
著者はアイドルマスターの生みの親
「坂上陽三さん(通称:ガミP)」です。
TVや動画サイトなどのメディアに多数出演されており、
ファンの間では「ヘンタイ」の愛称で親しまれています。笑
感想
以降、私が本書を読んで得た学びを2つのテーマに分けて紹介していきます。
- 仕事の自分事化について
- ヒット商品の生み出し方について
仕事の自分事化について
仕事を楽しむために「自分事化」しようというのが坂上さんの主張で、本書のメインテーマです。
「自分事化」とは自分主体で仕事を進めることです。
私は仕事について、
- 上からの指示に従って、怒られない程度にはやろう。
- 自分は替えのきく歯車。
くらいに思っています。
なので、仕事は常にやらされ感があります。
自分に決定権はないのに、主体性を持つということは難しくないでしょうか。
坂上さんは、「決断は上司がするとしても、選択は自分でできる」と本書で語られています。
具体例を出すと、
A案とB案があった時に最後の決断は上司がするとしても、自身の根拠を持ち「A案にすべきです」と選択をして上司に話すことはできるということです。
正直に書くと、この考え方は腹落ちしませんでした。
上司の一声で決まるのであれば、自身の根拠・選択は無駄になるのではと思います。
実際にA案にすべき根拠を揃えて上司に説明しても、外的要因でB案になってしまった。
少なからずそういった経験もしてきました。
結果として、無駄になるかもしれない労力を抑えることを優先し、言われた通りに動く歯車の働き方をしています。
ただ、確かにA案にすべき根拠を集めている時は、あっという間に時間が過ぎていました。
今、振り返ると仕事に熱中していたからだろうなと思えます。
極論になりますが、突き詰めると、
- 労力をかけてでも主体的に仕事をして楽しむ
- 仕事は楽しくないものと割り切って言われた通りに働く
の2択でどちらがいいのかという話ですね。
強いて言えば、自分の心のバランスをとりながら2つを使い分けるのが正解かもしれません。
本書を読んで、自分の仕事のスタンスについて考えるいいきっかけが得られました。
ヒット商品の生み出し方について
アイドルマスターは、ユーザーの欲求が満たされるよう論理的に構築、デザインされていることが本書を通じてよくわかり、勉強になりました。
具体的に勉強になった部分は、次の2つの考え方です。
- コンセプトシート
- セオリー無視と普遍性
順番に紹介していきます。
コンセプトシート
コンセプトシートとは、次の4つの事項を定めることで商品の軸をブレさせず、狙ったユーザーに届けるというものです。
- ターゲット:誰に向けたものか
- ニーズ:どんな需要を満たすのか
- アイデア:需要を満たす方法は
- ベネフィット:どんな恩恵を与えるか
アイドルマスターでは以下のようになります。
- ターゲット:2次元好きの10代後半以降の男女
- ニーズ:魅力的な異性と仲良くなりたい
- アイデア:プロデューサーとしてアイドル育成
- ベネフィット:アイドルと繋がることで癒しを得る
私自身、アイドルマスターが好きで実際にゲームもプレイしています。
ちなみに、コンセプトシート通りのユーザーでした!笑
コンセプトシートを作成し共有することで、
制作チーム全体が同じ方向を向いて商品開発に取り組めます。
軸があれば判断を下す時の拠り所になりますし、チームで仕事をするなら役立つ場面が多いだろうなと感じました。
個人だとSNSのフォロワーを伸ばしたりするのにも使える考え方ではないでしょうか。
セオリー無視と普遍性
セオリー無視と普遍性は新しいもの市場に馴染ませる方法です。
一つずつ順番に解説します。
セオリー無視
アイドルマスターは、いわゆるギャルゲーに分類されます。
従来のギャルゲーは、「プレイヤーとゲームキャラが恋愛する」ゲームでした。
しかし、アイドルマスターは、「プレイヤーがゲームキャラをプロデュースする」ゲームです。
「ゲームキャラと親密な関係になる」という軸は変えずに、恋愛をプロデュースに置き換えています。
ゲームキャラはアイドルなので恋愛はご法度となり、「セオリー無視」した新しいギャルゲーを市場へ提供しました。
普遍性
新しいだけだとユーザーに受け入れられづらいので、安心感を与えることも必要になります。
安心感につながるものが「普遍性」です。
ここで言う「普遍性」とは、いわゆるお決まりのパターン。
例をあげると、戦隊モノのヒーローは悪の組織に勝ち、それを観るとスッキリした気持ちになるというものです。
アイドルマスターの「普遍性」は「ロミオとジュリエット」にあたります。
ゲームキャラとプロデューサーは、ある意味恋人よりも近い距離なのに結ばれることはありません。
そのもどかしさに人は心を惹きつけられてしまう。
普遍的な人の心理をゲームに取り入れることで、安心感が芽生えます。
まとめるとこんな感じです。
- 新しいものを受け入れてもらうためには、人間の心理を利用する
- セオリー無視と普遍性の2つを混ぜ合わせてバランスをとる
上記以外にも、ヒットの仕掛けとして次の内容も面白く勉強になりました。
- ゲームの横展開(CD発売)
- ゲームの追体験(ライブ開催でキャラがリアルで人気に)
ぜひ、本書でご確認ください!
さいごに
「気のいい上司に仕事の悩みを相談をしたら『こういう考え方もあるよ』と優しく諭してもらった」
私にとっては、そんな本でした。
考え方を押し付けるわけではなく、あくまで提案してくれている。
「もし役に立ちそうだったら取り入れてみてもいいかもね。」くらいのちょうどいい温度感です。
仕事中心の生活を送られてきた坂上さんと私では、仕事に対する価値観の違いがあります。
それでも、本書の言葉は共感できたり、心に届く優しいものでした。
仕事についての学びを得られたので、本書を読んでよかったなと思えます。
「主人公思考」の製作に携わられた、坂上さんをはじめとするみなさんへ感謝です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。